理事長挨拶
みなさん、こんにちは。
引き続き令和6年~8年度まで山形県美容業生活衛生同業組合の運営を任されることになりました桑原通夫です。総代会でも申し上げたように何のために組合があるのか・・と問われれば、ライセンス制度を守り、業権を守ることでお客様への安全と安心を担保しながら、組合員が安心して経営に携われるように環境を整えるためです。どんな組合にしたいのか・・と聞かれたら、わかりやすく言えば、良く学び、よく稼げる組合員がたくさん集う組織にしたい・・ということです。そのためには何が必要なのか? 何ができるのか? ということを日々考えながら組合運営に取り組んできた結果、形となったのが経営塾であり、デジタル委員会であり、組合員拡大事業であり、県内初のフリーカットコンテストだったということです。 しかしどれも単年度で大きな成果を上げることは難しい課題ですので、今後も継続していかなければならないと思っています。
そして今、新たに取り組まなければならない課題として、行政とのつながりを強化することがあります。
今、全国には26万以上の美容室がありますが、そのうち組合に加入しているのは4.2万弱となっています。
このわずか6分の1以下の組合員が全体の業権を守るために必死に活動を行っている・・というのが偽らざる事実です。 これはどう考えても異常な状態だと私は思います。
世の中の原理原則から言っても、受益者負担というのが基本であり、利益を受けるものは応分の負担も負わねばならないわけです。 しかし、この業界はそうなっていません。
美容師法により、美容師の免許があれば組合への加入云々にかかわらず、誰でも国内で美容の業務に携わることが出来るということを理由に、組合活動には無関心な経営者が増え続けています。
このまま組合員の減少が加速すれば、間違いなくライセンス制度は維持できなくなります。そうなれば、業務独占もなくなり、国家試験も無くなります。そうなると当然、美容学校も必要なくなります。誰もが自由に美容の仕事をやる事が出来るようになります。
そうなった場合の無秩序な過当競争の下では、業界自体がきわめて劣悪な環境になることは想像に難くありません。とても今のような安全と安心をお客様に担保することも出来なくなります。
ではライセンス制度は誰が守っているのでしょうか? そして何から守っているのでしょうか?
業務独占という業権を守っているのは全体のわずか6分の1という組合員であり、全日本美容業生活衛生同業組合連合会という組織なのです。そして毎年のようにライセンス制度を見直すべきだ‥と主張している企業団体から、守っているのです。 全日本美容業生活衛生同業組合(全美連)という組織に守られて、今のライセンス制度が維持されているのです。
このようなライセンス制度の見直しを求めている団体からすれば、連合会が邪魔でしょうがないわけで、組合がなければ、美容師法の見直しを実現させ、もっと手軽に人材が確保できるのに・・と思っています。
美容学校の2年間は長すぎる→卒業までのお金もかかりすぎる→それをなくすにはライセンス制度そのものを見直すべきだ・・と考えているわけです。
このような企業の中にはファンド会社がバックについているものもあります。
このような大きな圧力を跳ね返しているのが、全美連なのです。組合員からの賦課金で活動を行い、政治家の先生たちに働きかけ、行政にもお客様の安全と安心を守るためにはこの国家資格という厳しいライセンス制度を無くすことはあまりにも危険だ・・ということを訴え続けてきたのです。そのおかげで今のような環境が整っているのです。 しかし多くのアウトサロンの経営者はそのことを知りません。知っていても未加入でも罰則もないので、無視しているのかもしれません。
平気で美容組合の世話にならなくても何も困らないし、自分でやっていけるから必要ない‥といいます。ライセンス制度も業務独占という権利も、組合加入云々にかかわらず、これからも与えられ続けていくものだと思い込んでいます。
アウトのサロンは組合加入のメリットは・・?といいますが、もし組合が無くなったら業務独占が壊れてしまうというデメリットの大きさを考えたことはあるのでしょうか? メリットよりも大きなデメリットから守っているのが組合なのだ・・ということを理解していません。それを知れば、組合の世話にはなっていないなんて言える筈がありません。すでにもう世話になっているのです。 業務独占にも衛生管理の徹底という義務が生じます。義務と権利というものは表裏一体であるべきです。義務を果たして初めて権利を主張できるものですが、アウトサロンは毎年衛生講習を受講するという義務を果たしていません。それを監督する立場の保健所も、人手不足を理由に各サロンが受講しているかどうかのチェックさえも行っていません。さらに言えば行政を監督する立場の政治家の先生たちも、このような状態を放置していていいのでしょうか?
これからは、このような行政側とのかかわりを強化していかなければならないと思っています。
組合にまかせっきりになっている衛生講習会も、全サロンが受講するようにもっと積極的に、保健所が率先して啓蒙すべきではないでしょうか。そのことを強く要望していきたいと思います。3年間でどこまでやれるかわかりませんが、5年後、10年後の美容業界のために覚悟を決めて取り組んでいこうと思っております。 組合員の皆様はじめ、顧問の先生方、そして関連団体の皆様の更なるご支援を心よりお願い申し上げまして2期目就任のご挨拶といたします。
理事長 桑原 通夫